はじめに:意思決定支援・第3弾!
こんにちは!今回は、訪問診療の現場からお届けする「意思決定支援シリーズ」の第3弾です。
前回は、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性についてお話ししました。
高齢化や家族関係の変化、医療の高度化が進む中で、ACPは私たち一人ひとりが自分らしく生きるための大切な考え方です。
今回は、そのACPを実践する場である「人生会議」を具体的にどう進めていくかをお伝えします。
人生会議は難しいものではありません。今日からすぐ始められる、未来への第一歩です!
1. 人生会議とは?簡単におさらい
人生会議とは、本人と家族、そして医療者が集まって、将来の医療やケアについて話し合う場のことです。
たとえば、こんなテーマを話し合います:
•「病気が進行したときにどんな治療を受けたいか」
•「最期のときをどこで迎えたいか」
•「自分にとっての幸せな暮らしとは何か」
この会議のポイントは、「話し合いの場を設けることそのもの」にあります。
すぐに答えを出す必要はありません。気軽な気持ちで未来について話し始めることが大切です。
2. 人生会議を始めるタイミング
人生会議をいつ始めるべきか、迷う方も多いかもしれません。
ですが、実はベストなタイミングは「元気なうち」です!
具体的には:
•家族が集まるお正月やお盆のタイミング
•誕生日や記念日などの特別な日
•健康診断の後や、医療に関する話題が出たとき
これらの機会を利用して、「将来について少し考えてみない?」と声をかけてみてください。
3. 人生会議の進め方:ステップ・バイ・ステップ
① リラックスした雰囲気を作る
人生会議を始めるとき、堅苦しい雰囲気はNG!
お茶やお菓子を用意して、笑顔で「ちょっと未来の話をしてみよう」と切り出すのがおすすめです。
家族旅行や最近の出来事など、楽しい話題から始めるとスムーズに進みます。
② 主役は本人!希望を聞くことが大事
話し合いの中心はあくまで本人です。
•「どんなことが幸せだと思う?」
•「治療よりも穏やかに過ごすことを大切にしたい?」
•「どこで過ごしたい?」
こういった質問を優しく投げかけ、本人の気持ちを尊重することが大切です。
③ 書き残すことで安心感を得る
話し合った内容は、メモに残しておくと後で役立ちます。
ACPの公式書類を用意するのも良いですが、まずは簡単なメモやノートでもOK。
「こういう希望があったよね」と振り返ることができるだけで、家族も本人も安心できます。
4. よくある不安とその解決法
人生会議を始めるとき、「家族がどう反応するかわからない」と不安に感じる方もいます。
そんなときは、以下のような工夫をしてみましょう。
ケース1: 家族が重たい話を避けたがる
「未来のための準備として、気軽な話をしよう」と伝えてみてください。
具体的な治療や最期の話にこだわらず、「どんなことをしていると楽しいか」など軽めの話題から始めると良いでしょう。
ケース2: 意見が対立してしまう
意見の違いは自然なことです。無理に結論を出そうとせず、「今はそう考えているんだね」と受け止める姿勢が大切です。
5. 人生会議を通じて得られるもの
人生会議を行うと、以下のようなメリットがあります:
•本人が安心して生活を送れる
•家族が本人の意思を尊重しやすくなる
•医療者も希望に沿ったケアを提供しやすくなる
何より、「みんなで未来を考えた」という絆が生まれるのが最大のポイントです。
「今日からできる人生会議、あなたも始めてみませんか?」
私たちの「ねっこ」の部分はなんでしょうか。
人生会議を通して、自分がどんな生き方を選択してきたか、今の自分がどうありたいか、などがわかりやすくなると思います。
ただあなたにとって価値があればいい。
あなたの喜びの上に実が生ればいい。
理事長 水上潤哉